ユカリア STORIES
Capital Medica Special Meetup~事業開発と医療周辺事業編~
※2022年5月9日株式会社キャピタルメディカは「株式会社ユカリア」に社名変更しました。
二番手はファンドでのエクイティ投資を経て、リクルートのIPOを牽引してきたキャリアを持つ事業企画部長の白子が、当社が持つ事業開発の強みについて語りました。
まず私のキャリアの話をすると、はじめはオリックスでプライベート・エクイティの仕事をしていました。マジョリティで会社を買って、事業再生して売るというような仕事です。その後、リクルートでIPO―経営戦略を経営陣と練って実行する、ということをしてきました。
キャピタルメディカは病院向けのサービスのうち、医療行為以外のすべてのサービスを持っています。つまり経営に必要なものの全てです。人事、購買、施設管理や情報システムなどなど、小さいものから、大きいものまで書ききれないくらいあります。
たとえば、会社医薬品の医療卸や購買をやっている子会社のライラックメディカルは売上60億円程度あり、建物管理や建築を行うメディカルプロパティは設立間もないですが売上6~7億円。ベッドサイド情報端末事業については、初年度で3億円程度も売り上げています。
元々は、キャピタルメディカのパートナー病院のリソース不足を補うためにサービスを開発し展開してきましたが、そうこうしているうちに支援先は全国でも20病院を超え、病床数は総数で約4,000床程の規模にまでなりました。そうなると、単なる工数提供だけでなく独自のサービスを開発してパートナー以外の医療機関にも提供していこうという動きになってきました。
つまり、「病院のマイナスをゼロにする」から、「ゼロからプラスにする」フェーズにきているということです。
先程触れた、ベッドサイド情報端末「ユカリアタッチ」について少しお話しましょう。
「ユカリアタッチ」とは何かというと、ベッドの脇にある床頭台という棚にはめ込む情報端末のことです。
患者の電子カルテに必要な情報をシンプルに表示させることができるサービスですが、それが非常に売れています。この端末一台で、患者ごとにピクトグラムで手術の予定や、禁忌アレルギー情報などの必要情報が取得可能で、さらに離床ボタンが実装されているなど必要なものはすべて揃っています。
一見、ものすごく単純なサービスに見えるがなぜ売れているのか。
実は、病院はいまだに注意事項を紙や札で掲示しているところが多く、目で見て、紙で書いての属人的なオペレーションなので、看護ミスのリスクと常に隣り合わせです。
これを解消するのがこのユカリアタッチで、ベッドまわりをすっきりさせることができます。
今後は医療機器メーカーと提携し、バイタル測定を電子カルテへ反映させることも可能にしていく予定です。
―医療従事者の課題に対し、柔軟なカスタマイズが可能
病院ごとに課題=ニーズは違うので、コンサル的なカスタマイズができるかどうかが実は重要です。
ユカリアタッチも最初の構想から約4年もの歳月をかけてカスタマイズしてきました。
当初は死亡患者遺族向けの葬儀屋情報を掲載する端末でしたが、次に入院患者向けの娯楽情報にチェンジし、ようやく現在の入院病棟看護師向けのバージョンに進化しました。
―病院は業者が簡単に出入り禁止になる業界
病院向けサービスというのは、仮に病院に導入できたとしても、ひとたびエラーが発生したりすると即時「出禁」になるシビアな世界です。PDCAをまわすことは容易ではありません。
一方でキャピタルメディカは、病院の経営改革に対する理解を頂いているという状態で現場に入っていくので事業開発は圧倒的にしやすいのです。それが上記の柔軟なカスタマイズを可能にしています。
事業開発に必要なことは、以下の3点だと考えています。
①サービスをつくること
ユーザの本質的な課題はなにかを発見
②ビジネスモデルを設計すること
マネタイズの仕方を設計
③プロトタイプをつくってフィージビリティを経て商用化していくこと
PDCAをフル回転
とはいっても、やはり病院は難しい。
①のサービス開発のところでいうと、現場オペレーションを熟知していなければなりません。
たとえば看護師さんが24時間、何を意識して動いているか・・・おそらく、見れる会社はそうそういないと思います。
先程の情報端末事業の責任者は丸1週間、それも1日中看護師さんに張り付き、看護師の課題はなにかをとことんまで突き詰めた結果として「ユカリアタッチ」を完成させました。こんなことができるのは当社しかいないと自負しています。
②のビジネス開発のところについても、そもそも病院のビジネスモデルを熟知していなければお話になりません。病院の収入はほとんどが診療報酬ですが、診療報酬という制度はこんな分厚い本で細かく定義されています。
どの施術がいくらでとか、やれ施設基準はどうだとか、どのベッドの単価が一日いくらでとか全部決まっています。
それを全部頭に入れていないと、たとえ新しいプロダクトをつくって、そのプロダクトを病院に導入できたとしても、どうやって収入を増やすのか、どうやってコストを減らすのか、というところまでは行き着きません。
“あったらいいよね”はつくれる、けれども、“今つかっているものを振り替えてまで投資したいものを作れるか”が味噌で、それは病院の収益メカニズムを理解していないと非常に難しいのです。
・現場オペレーション
・収益メカニズムの理解
この2つはキャピタルメディカという会社の得意領域であり、強みです。
Dr.や看護師がいる会社は最近増えてきましたし、診療報酬について詳しい人もいるとは思いますが、“イマ”実際に病院に入りながらその知識を最新のものにアップデートしていけるのは、現場感を強みとしているキャピタルメディカならではだと思っています。