ユカリア STORIES
Withコロナにおけるパートナー病院の取り組み~新しらおか病院
※2022年5月9日株式会社キャピタルメディカは「株式会社ユカリア」に社名変更しました。
こんにちは、キャピタルメディカです。
医療やビジネスのゲンバから様々な情報を発信する『キャピタルメディカSTORIES』。
冊子『EUCALIA LIVE』(ユカリアライブ)の原稿を抜粋・再編集し、それぞれのパートナー病院がコロナ禍のなか、どのような病院経営・運営をしてきたのかをお届けする、パートナー病院紹介シリーズ。
今回は埼玉県の「医療法人社団 白桜会 新しらおか病院」です。
※情報はすべて2021年10月時点のものです
医療法人社団 白桜会 新しらおか病院
[所在地] 埼玉県白岡市上野田1267-1
[診療科目] 精神科、内科
[病床数] 120床(認知症治療120)
[ホームページ]https://www.shin-shiraoka.jp/
2020~2021の取り組み
2020年から2021年は歴史的にも、コロナの時代として記憶されると思います。その中で、当院の行った取り組みをお伝えしたいと思います。
2020年3月以降、新型コロナウイルス感染症が蔓延し、医療、福祉機関でも集団感染が広まっていきました。当院のように、精神科で、しかもほとんどが高齢者である認知症病床では、いったん院内感染が起きると、多数の罹患者が出ることが予想されました。この中で、当時はまだ、厚労省などもPCR検査自体にあまり積極的ではなかった時期であり、検査自体も高額で、補助金も出ない状況でしたので、経済的にはかなり大変でしたが、8月に職員全員のPCR検査を行いました。
結果は全員陰性で、これを機に、安心して就業できる雰囲気になったものと思います。その後も1~2ヶ月毎に検査を繰り返しています。幸いにも、陽性になる職員も出ず、院内感染も起きない状態を維持しています。その後、簡易な抗原検査キットが発売された後は、発熱患者さんにすぐに検査を行うようにしました。
それと並行して、2020年5月から当地の医師会で発足したPCR検査センターの運営にも協力させていただいています。本年5月からは、地域住民のワクチン接種を行うとともに、地域の集団接種にも協力しています。精神科病院はともすると閉鎖的になりがちですが、こういった取り組みを通じて、地域に開かれた病院を目指していくことができると感じています。
一方、入院患者さんについていうと、以前は空床率もやや高い時期がありましたが、指導を受けて営業を強化した結果、最近はほとんど満床で推移しております。また、コロナ禍において、身体合併症を有する患者さんの割合が高くなってきています。これは、そういった方の受け皿になっていた施設や病院が手一杯になったことや、在宅で何とか頑張っていたご家族が、限界となってきたケースなどがあるようです。当院は、精神科だけでなく、合併症のある方も積極的に受け入れをしています。また、ご家族の希望により、看取り目的の方も受け入れております。
コロナワクチン接種の取組
白岡市の高齢者は約1万5千人おり、当院では約1割のワクチン接種のお手伝いをさせていただいております。安心して接種を受けていただくために、ワクチンチームを立ち上げ人員配置を手厚くし、リラックス音楽を流したり、ワクチン会場案内旗を設置するなど環境を整え、スムーズな接種を行っております。
理想の看取りを目指して
最後に、最近経験した看取りのケースを紹介させていただきます。
患者さんは55才、10年ほど前から若年性アルツハイマー病の診断にて在宅療養をしていました。2年前には感情失禁、不安発作などがあり、他院精神科入院歴があります。もともと本人の母親も同病で、本人も介護をしていたことから、末期になったら医療行為は希望しないと言っていたとのことでした。入院1ヶ月前から誤嚥を繰り返すようになり、在宅困難となり入院。当初は食事が何とか取れましたが、入院3日後から発熱あり、誤嚥によると思われ、食事を中止して1本のみ点滴。
10日ほど続けたところで、家族より申し出があり、相談の上、点滴を中止、5日後に逝去されました。最後は特に苦痛もなく、ご家族も対応に満足されていました。今後はこういったケースも増えてくると思われます。
【文献】
日本医事新報NO.5018 2020・6・27) 菅谷憲夫 新型コロナウイルスの院内感染防止対策

次回は群馬県の「医療法人社団 善衆会 善衆会病院」です。
ゲンバからは以上です。