ユカリア STORIES
Withコロナにおけるパートナー病院の取り組み~石橋病院
※2022年5月9日株式会社キャピタルメディカは「株式会社ユカリア」に社名変更しました。
こんにちは、キャピタルメディカです。
医療やビジネスのゲンバから様々な情報を発信する『キャピタルメディカSTORIES』。
冊子『EUCALIA LIVE』(ユカリアライブ)の原稿を抜粋・再編集し、それぞれのパートナー病院がコロナ禍のなか、どのような病院経営・運営をしてきたのかをお届けする、パートナー病院紹介シリーズ。
今回は北海道の「医療法人 北仁会 石橋病院」です。
※情報はすべて2021年10月時点のものです
医療法人 北仁会 石橋病院
[所在地] 北海道小樽市長橋3条7番7号
[診療科目] 心療内科、神経科、精神科、内科、歯科
[病床数] 372床(精神一般316・地域移行56)
[関連施設] 北仁会旭山病院、幹メンタルクリニック
[ホームページ]http://www.hokujin.or.jp/ishibashi/
当院は1934年創立の北海道で最初の民間精神病院であり、当初から地域医療を目指しており、PSWや作業療法士等を育ててきた北海道の精神医療のパイオニアです。
当院の特長はアルコール問題だけでなく依存症全般の治療プログラムを持っていることと、ストレス緩和病棟を有し、多くのストレス関連の患者様の生活力の向上を目指した治療を行っていることです。また、小樽精神保健協会内にアルコール・薬物専門部会を作り、小樽市や後志地域の道立保健所、市町村の保健師、生活保護課のケースワーカーや介護施設のヘルパーや多くの病院を中心に定期的に学習会を開催しています。地域での人材の育成と患者・家族の支援を入院前から退院後まで一貫した地域ネットワーク医療を行ってきたことにあります。
病院の将来構想
1978年時、人口は小樽市が20万人、後志地域で20万人、合計でサービスエリアの人口は40万人ありました。病棟は384床でした。
しかし、近年は毎年2千人が流出し、小樽市は11万人、後志地域は10万人であり、高齢者率も50%に近い。今のような病棟規模・構成では地域のニーズに十分応えることができないと考え、よりコンパクトで収益性の高い病院作りを行うことが必要と判断しました。コロナ病棟の開設はそのステップのひとつであり、改築原資を作るためにも必須でした。
新病院は5年後を目途にしており、200床程を考えています。要望の高いストレス緩和病棟、急性期治療病棟、依存症病棟、身体合併症病棟、精神科病棟等を作ることで高齢者のみならず若い人や精神科重複障がい者にも対応できて、その存在をアピールできる病院作りを考えています。
2020~2021で大きく変わったこと
2020年は、新型コロナウイルス感染症の拡大のため職員に意識や病院運営は「我慢の年」でした。収束時期は全く不明で自分達や家族への感染の危険も強く感じられる中での医療でした。しかし、コロナ病棟を作ることで職員の意識は大きく変わり、今まで以上に積極的に患者に関わる様子が見てとれます。また、ワクチン接種が終了し、感染症への不安が軽減したことだけでなくクラスターを経験したことで対応の技術も向上し、今まで以上に患者のためにという強い使命感が高まってきました。また、病院の将来に貢献しているという自覚も強まっていると思われます。2021年は病院運営や新棟建設がより具体的に進んできていると思われます。コロナ感染のクラスター化のため、病院が受けた傷は小さくはないですが、地域住民や地域企業からの励ましや支援が多く寄せられたことも、この経験を前向きに活かした活動ができている理由と思われます。
コロナ病棟をつくるまで
2020年1月の札幌雪祭り頃より、札幌市を中心に新型コロナウイルス感染症が広がりました。小樽市は札幌市から車で35分と隣接しています。観光が重要な産業であり住民の生活圏も共通しているため、感染拡大は早期から認められました。当院は徹底した水際対策を行っていましたが、入院患者の外出は自由で、外来患者や地域住民との交流も広く認められていました。
2020年12月20日前後に1人の入院患者の感染が認められ、すぐに対応しましたが12月末には7病棟中4病棟に感染が拡大し、2月中旬までに患者・職員合わせて131人の感染がありました。当時、小樽市内でも感染が拡大していて、患者は当院内で治療することが求められました。この間、外来は閉鎖され連日のようにマスコミで報道されました。このクラスターによる影響は大きく、感染が収束しても以前のように外来患者で溢れることは期待できない状況にあり、また、再度の感染も否定できない状況であると考えていました。この状況下でコロナ対策に連日のようにご協力をいただいていた担当者より、コロナ病棟の開設の話を提案され、また、小樽市保健所からも精神疾患を有するコロナ患者、認知症の患者やアフターコロナ患者の受け入れを相談されました。当時はまだクラスターが収束していない状況下でしたが、内部で検討し、迷うことなくコロナ病棟をつくることが病院の将来に必要であると判断しました。
全職員にビデオメッセージを送り、この間のコロナ発生病棟の対応に感謝を述べると共にコロナ病棟開設の理解を求め、長年育ててきた依存症病棟を一時閉鎖する決心を伝え、職員にコロナ病棟へのボランティア参加をお願いしました。結果、多くの職員の同意が得られ2月下旬には病棟が開設できたのでした。
次回は北海道の「医療法人 社団図南会 あしりべつ病院」です。
ゲンバからは以上です。