ユカリア STORIES
Withコロナにおけるパートナー病院の取り組み~東札幌病院
こんにちは、ユカリアです。
医療やビジネスのゲンバから様々な情報を発信する『ユカリアSTORIES』。
冊子『EUCALIA LIVE』(ユカリアライブ)の原稿を抜粋・再編集し、それぞれのパートナー病院がコロナ禍のなか、どのような病院経営・運営をしてきたのかをお届けする、パートナー病院紹介シリーズ。
今回は北海道の「医療法人 東札幌病院」です。
※情報はすべて2021年10月時点のものです
医療法人 東札幌病院
[所在地] 北海道札幌市白石区東札幌3条3丁目7番35号
[診療科目] 内科、腫瘍内科、血液内科、消化器内科、循環器内科、呼吸器内科、心療内科、脳神経内科、放射線科、外科、消化器外科、乳腺外科、内分泌外科、緩和ケア内科、緩和ケア外科、整形外科、歯科・歯科口腔外科、麻酔科
[病床数] 243床(一般185・緩和ケア58)
[関連施設] 厚別老人保健施設ディ・グリューネン、在宅療養支援診療所ヘルスケアクリニック光、札幌市白石区第2地域包括支援センター
[ホームページ]https://www.hsh.or.jp/
2020を振り返って
新型コロナウイルス感染症パンデミックの被害に遭われた世界の方々に心からのお見舞いを申し上げます。
病院設立当初はがん緩和ケアを中心とする医療は社会に受け入れられず、またその他の社会環境も厳しい時代であり、病院の経営はたいへんな苦境が続いておりましたが、今日世界でもユニークな病院として活動できる様になりました。
今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
2021年度になり当院でも、医師・歯科医師5名、看護師20名を含む計32名の新規入職者を迎え、例年通りのオリエンテーション研修が始まっています。新型コロナウイルス感染症の渦中にあっても、従来と何ら変わらない日常があり、期待に満ちた新規入職者を迎えた部署だけでなく病院全体が活気に満ちています。
「防げるものは防ぎ、治せるものは治し、治らなくとも和らげ、常に癒す」
医療の基本は時代に左右されません。本院の理念は「やさしさ」です。38年前に掲げられたこの理念はまさに永久に変わらない医療の本質を捉えたものです。
このことを新規入職者も含めた全職員とともに、再度肝に銘じ、新たなそして輝く東札幌病院を創っていきたいと考えております。
近未来の医療について
新型コロナウイルス感染症の話題を少し離れて、新規採用された若い方々が病院の中枢となる近未来の医療について考えてみたいと思います。キーワードはやはりAI(人工知能)です。AIの導入は、医療とケアの質を劇的に高め、保健監視、疾患予測、診断、治療、患者サービスなどあらゆる領域で、効率化・精度の向上を医療にもたらします。急速な汎用化が進むと予測され、“AIが診断を支援し、ロボットが手術、病気はアプリで治療する”時代が早晩到来することになろうと思います(デジタルヘルス未来戦略ウィズコロナ編Ⓡ)。
当然、医師をはじめ医療者の役割は大きく変わります。AIの下僕になるのではなく、使いこなし、患者さんの病態を「正確に情報化」し、「適正に分析」して、「高い医療技術」を提供するとともに、必要な事項について「説得」し、そして「責任を取る」、ことが役割となります。ただ、その基本はやはり、患者とのコミュニケーションと信頼関係の醸成にあり、重要なのは今と変わらず「声なき声まで聴く」医療者としての姿勢だと思います。
また、どんなに医学・医療が進歩しても、疾患はしたたかです。人類の歴史はまさに疾患・感染症との戦いで、今も新型コロナウイルス感染症のように新しい難治性疾患が登場しています。どの疾患も医学の進歩とともに、「死か生か」、「治るか治らないか」、「治らないが長く生きられる」、そして最終的に「治る」という過程を経ることになります。医療の本質は、いずれの段階でも幸せに生きられるようサポートすること、癒すことにあり、「治す」がゴールじゃない医療も常に求められているのです。
将来は、AIも患者の生き方をサポートしたり、幸福感を増すことを目的とした開発へと進んでいくものと思われます。
がん緩和ケア国際研究学会SCPSC2022の準備
2022年7月に行われるがん緩和ケアに関する国際研究学会(SCPSC2022) ※の開催の準備を行っています。新型コロナウイルス感染症流行の影響を受け、2年延期・第4回SCPSCと合同開催となり、当初予定よりもプログラムをさらに充実させ、皆様に気持ちよく参加していただけますよう、企画段階から様々な議論を重ねてきました。世界のがん緩和ケア各領域のエキスパートの先生方からご講演をいただき、参加者も国内のみならず世界20か国以上からの参加を予定しています。
※現在、来年2023年の春までの延期が決定。
具体的なテーマとしましては「オピオイドとがんの痛み」「臨床腫瘍学と緩和ケアの統合」「スピリチュアル・ケア」「サイコオンコロジー」に加え新型コロナウイルス感染症流行下における緩和ケアの新たな話題や、安楽死・医師による自殺幇助に関するテーマを追加し、前回好評であったワークショップ「進行がん患者の人生の意味に焦点を当てた精神療法(MCP)」も予定しています。
近年進歩を遂げているインターネットなどの情報技術を活用したケア(TEC; Tecnology Enabled Care)の中でも、新型コロナウイルス感染症の影響から注目されている「がん緩和領域の診療」に着目し、プレナリーセッション「情報と伝達の技術が導入される緩和ケアの現状と将来」も追加いたしました。第3日目午後のシンポジウム「安楽死・医師による自殺幇助と緩和ケア、その本質的な議論に臨む」では世界の現状と問題点も含めて幅広く議論する予定です。
次回、最終回は北海道の「医療法人社団 札幌道都病院」です。
ゲンバからは以上です。