プレスリリース

電子カルテデータから生成AIと自然言語処理で患者QOLを「見える化」する技術で特許取得

2024年3月5日
株式会社ユカリア

治療の効果検証や個別化医療への貢献を見込む

 株式会社ユカリア(本社:東京都千代田区、代表取締役:古川淳)は、電子カルテの非構造化データから患者の生活の質(QOL)を予測する新たな手法で、特許(特許番号:第7421000号)を取得しました。
 この技術はこれまで解析が困難であった診療記録などのテキスト情報からQOLを「見える化」する技術であり、電子カルテデータの新たな活用法として、治療の効果検証や個別化医療の応用に貢献するものです。ユカリアは本技術の向上に引き続き努めるとともに、適切に活用される環境整備に取り組んで参ります。
 
■ 特許概要
 特許番号 :第7421000号
 発明の名称:電子カルテシステム、情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム
 特許取得日:2024年1月15日
 
 この特許は、汎用言語モデル「BERT」(※1)の日本語事前学習モデルを用いて、電子カルテから患者QOL指標を予測するアルゴリズムに関するものです。匿名化された電子カルテデータを基に、患者のQOL(※1)を評価するEQ-5D-5L(※3)指標を効率的に予測します。
 
 ※1 BERT(Bidirectional Encoder Representations from Transformers):自然言語処理のための深層学習モデルの一種。
 ※2 QOL(Quality of Life):生活の質のこと。
 ※3 EQ-5D-5L(EuroQol 5-dimensions 5-levels):移動の程度・身の回りの管理・ふだんの生活・痛み/不快感・不安/ふさぎ込み、に基づくQOLの評価指標で、医療技術の経済評価などに使用されている。

 
■ 背景と社会的課題
 AIの進化は医療分野においても大きな可能性を秘めており、特に患者中心の個別医療への応用が期待されています。ユカリアのこの技術は、QOLの評価と治療効果の検証を効率的に行うことを可能にし、患者一人ひとりに合わせた医療の提供を支援します。
 
■ 目的と目指す効果
 本技術の特筆すべき点は、データ記録からの回顧的なEQ-5D-5L算出を自動化できることです。これにより、従来患者のQOL測定において課題となっていた業務負荷の軽減も期待されます。この技術により、医療従事者は電子カルテ情報をもとに患者のQOLを正確に予測し、個別化医療の精度を高めることができます。これは、効果的な治療計画の策定や、医療サービスの質の向上に直結します。また、医薬品の治療効果について、QOLの経時変化の観点からの評価が可能となります。
 ユカリアは、今後、本手法の精度向上や応用範囲の拡大といった技術向上に努めて参ります。また、このほかの研究開発においても患者中心医療の実現に貢献すべく邁進して参ります。