虎の巻その6 病院事業5つの特性(下)
はじめに
こんにちは。虎兄(とらにぃ)です。病院経営コラム「病院経営~虎の巻~」。前回、病院事業5つの特性のうち①と②についてご紹介しました。今回は③~⑤のご紹介です。
その前におさらいです。
【病院事業5つの特性】
① 制約の存在と制約の変化
② 労働集約型かつ固定費(設備投資先行)型のビジネスモデル
③ 「私」であり「公」である
④ 専門家集団でコンセンサスが取りづらい
⑤ 経営者意識の欠如
特性その③ 「私」であり「公」である
病院は民間病院であれ公的な部分があります。社会資本・公共財としての公共性が求められ、非営利の原則により運営されています。事業停止することで地域社会へ大きな影響を与えます。
私的な部分としては、非営利原則ではありますが財産権や個人事業での医業経営等が認められている、課税法人である、医療系のサービスを事業目的とするMS(メディカル・サービス)法人との取引が可能である点など。公私が混在し制度的な矛盾を内包しています。
特性その④ 専門家集団でコンセンサスが取りづらい
医療機関は、多くのライセンス職が働いている特殊な環境です。医師、看護師はじめ、薬剤師、臨床検査技師、診療放射線技師、理学療法士、管理栄養士等々・・・国家資格ではありませんが医療事務で民間資格を持っている方も多数います。
様々な倫理観の中で働いている専門家集団を動かすには、改革主導者の強烈なリーダーシップが必要となるのは想像に難くありません。
特性その⑤ 経営者意識の欠如
病院の経営者(理事長・院長)は原則医師である必要があり、元々経営のプロではありません。
さらに「非営利」=「利益は悪」さらに「医療は特別・聖域である」といった認識か根強く残っています。これは、事業再生だけでなく、業界近代化への足かせになる危険性があります。
また、本来経営をリードすべき事務方も自前でのプロフェッショナル育成は難しく、外からの採用も簡単では無いのが現状です。
まとめ
- 病院は公的な面と私的な面が混在し、良くも悪くも特別扱いを受けやすい
- 病院は様々なライセンス職の専門家集団により運営されている
- 経営の専門家集団ではないため、病院経営改善・改革には大きな経験とエネルギーが必要となる
以上のように改めて振り返ってみると、病院経営を取り巻く環境の厳しさが浮かび上がってきます。
「病院経営~虎の巻~」、次回もお楽しみに!