日本医科大学における入院患者の転倒転落発生予測モデルの研究開発を支援 RWDと自然言語処理技術で医療現場の質向上と業務負担軽減を目指す
株式会社ユカリア(本社:東京都千代田区、代表取締役:古川淳)は、電子カルテデータベースにおけるテキストデータの自然言語処理による分析のノウハウを活かし、日本医科大学(所在地:東京都文京区、学長:弦間昭彦)での転倒転落発生予測モデル開発に向けたデータ分析業務を受託し、その研究活動を支援することを同法人との間で合意しました。
高齢者の転倒転落は今後も増加が見込まれており、生命予後ヘの悪影響や、医療資源の増加を招くとされています。既存の転倒転落アセスメントツールには、患者の個別性が見落とされることや過度な予防対策が医療現場の疲弊を招くといった課題がありました。本研究は、これらの課題を解決することを通じて、入院患者における転倒転落の抑制と、転倒転落予防に係る病院現場の業務負担軽減を目的とするものです。
背景と社会的課題
入院患者における転倒転落の件数は増加しており、日本病院会の2021年度QIプロジェクト結果報告によれば一般病院で平均2.82%、65歳以上では3.21%で、経年的に増加しています。
転倒転落は骨折や脳障害といった生命予後ヘの悪影響や、在院日数の長期化による医療資源の増加を招くとされており、発生にはさまざまな要因が関与しています。
病院では代表的な対策の一つとして転倒転落アセスメントツールが活用されていますが、既存のアセスメントツールは多くの患者が一様にハイリスク患者と判定され、画一的な対応策となる傾向がありました。そのため、患者個人に紐付いた臨床症状や複数の要因の相関関係が見落とされることや過度な予防対策の実施が医療現場の疲弊に繋がり、結果的に医療の質の低下を招くといった課題が発生しています。
研究の目的と独自性
本研究は、転倒転落の抑制と予防対策における業務負担軽減を目的とします。
上記の課題を解決する新たな転倒転落発生予測モデルの開発により、包括的な転倒転落リスクの評価、患者個別の臨床症状への適応、転倒転落予防に係る看護師を中心とした病院現場の業務負担軽減を目指すものです。
転倒転落の対策として自然言語処理モデルを用いた報告はこれまでに少なく、日々の診療に基づく電子カルテデータを経時的な変化を加味して取り込み予測を行う本モデルは、新規性の高い取り組みと言えます。
研究の計画
転倒転落予測モデルの作成は以下の手順で行います。
① 転倒転落発生記録から自然言語処理モデルの一部である固有表現認識(Named Entity Recognition, NER)を用いて、探索的に発生要因と改善策を構造化
② ①の自然言語処理モデルから得られた結果、DPCデータ、電子カルテデータによるデータベースを構築し、入院患者の転倒転落発生予測モデルを作成
③ 効果的かつ適切なタイミングの予防策を明らかにし、転倒転落発生の減少と病棟看護師の業務効率化を検証、転倒転落アセスメントの精度向上・労働時間短縮・記録精度の向上も図る
当社は、本研究の第一のステップとして、最も重要なプロセスの一つである自然言語処理を用いたデータの構造化業務を日本医科大学より受託し、電子カルテデータの分析においてこれまでに培ったノウハウを活かして取り組んで参ります。
日本医科大学
所在地
東京都文京区千駄木1-1-5
ホームページ
https://www.nms.ac.jp/college.html