虎の巻その24 病院建築~コンストラクション・マネジメント活用のすすめ
はじめに
こんにちは。虎兄(とらにぃ)です。病院経営コラム「病院経営~虎の巻~」。
今回は「病院建築」シリーズのラストです。
前回のコラムを読んで、病院に建築や電気・設備に詳しい人材がいない場合はどのように進めたり判断したりすれば良いのか疑問を持たれた方もいるかと思います。そのような場合「コンストラクション・マネジメント」という発注者代行支援的サービスに業務委託するという選択肢があります。
今回はこの「コンストラクション・マネジメント」について紹介します。
コンストラクション・マネジメントって何?
コンストラクション・マネジメントとは、「建設プロジェクトの予算超過、工期遅延等を防止、また品質を担保したりするマネジメントを専門的に行う、専従の第三者であるCMr(コンストラクション・マネジャー)が、発注者、設計者と一体となりプロジェクトの全般を運営管理する方式」を意味します。CMrは建築の専門家がいない病院組織を補完し、プロジェクトを成功に導きます。
コンストラクション・マネジャーはなぜ必要?
それでは、なぜCMrが必要なのか、4つの理由が挙げられます。
①発注者である病院組織内に建て替え計画の専任者がいない
医事課の事務長が「新病院建設計画推進室長」に任命されることが多いですが、元々専門外の領域です。
よって、マンパワー(量)と建て替えに関する専門的知見(質)の補完が必要であるのは想像に難くないでしょう。
②市況の返還により、発注者(病院)>受注者(ゼネコン)から、受注者>発注者に立場が逆転
ひと昔前のような、発注者の立場を利用するだけの交渉(「値下げしろ!」と威圧するなど)は通用しなくなりました。
交渉事には“裏付け”のある専門知識・経験が必要になっています。
③建て替え計画には、利害関係者への透明性が求められる
巨額の投資を伴う建て替え計画には、債権者等に対する透明性の確保が必須です。
第三者であるCMrが計画の「御目付け役」として機能することが求められています。
④建て替え計画の成功には発注主によるマネジメントが必須
設計事務所やゼネコンに丸投げすると、失敗のリスクが高まります。
QCD(※1)のバランスを取った適切な発注者マネジメントが重要です。
※1 QCD Quality:品質/Cost:コスト/Delivery:工期
上記内容を病院関係者だけで実施するのは、専門スキルを持った職員が在職していても担当業務との兼任となり、物理的にも第三者的立場も難しいでしょう。
コンストラクション・マネジメントを委託する場合、重要な指標として病院建替え経験が豊富で、病院という特異性(専門性)を理解していることがあげられます。コンストラクションマネジメントには費用が発生しますが、それだけの価値と満足感が得られると思います。
まとめ
2011年の東日本大震災以降、病院建築は耐震安全性、BCP(※2)対策が大前提となりました。
※2 BCP Business Continuity Plan:事業継続対策
昨今はICT(情報通信技術)も広がりをみせ病院建築は複合的な要素を兼ね備えた建築物になりつつあります。
COVID-19(新型コロナウイルス感染症)拡大をきっかけに、感染症対策を重視するようになり、患者を隔離するための個室を増やしたり、区画化が進むことが予想されます。
このように世の中が大きく変化していくなかで病院建築も従来の枠組みにとらわれず持続的社会が求める変化に対応していく時代に突入していると思います。
ユカリアでは、病院建て替えに精通したスタッフが揃っている「病院建築サポート」を提供していますので、建て替えを検討する際には、ぜひ相談してみてください。
「病院経営~虎の巻~」、次回もお楽しみに!