虎の巻その8 ユカリア流、病院の経営戦略策定メソッド(上)
はじめに
こんにちは。虎兄(とらにぃ)です。病院経営コラム「病院経営~虎の巻~」。これまで、病院の経営環境についてご紹介してきました。
今回は、ユカリアが病院経営サポートをする中で培ったノウハウをもとに、現場で実践している経営戦略策定のメソッドをご紹介します。
病院と共有している3つの経営改善ポリシー
ユカリアでは病院の経営改善をサポートする際に、3つのポリシーを掲げています。
① 病院は事業が継続してこそ価値がある
② 病院は地域の人々や職員のものである
③ 全ての病院は地域との関わりなしに存在し得ない
ひとつずつ説明をしていきますが、各節の最後に実際に経営支援をしている病院に投げかけている質問を載せますので、病院関係者の方はご自身の病院に照らし合わせて考えてみてください。
①病院は事業が継続してこそ価値がある
病院は地域住民の日々の生活を下支えする「生活インフラ」です。インフラである以上、その場所で機能を提供し続ける必要があります。
病院が経営のために病気(患者)を作るわけには行きません。病院が継続できなくなる一つの要因は、その地域でニーズがなくなった時です。
~病院への問いかけ~
- 病院に明確な将来ビジョンがありますか、そのビジョンは病院全体で共有されていますか?
- 理想の実現(中長期的)と現実的な事業継続策(近視眼的)とのバランスを考えていますか?
- 理想と現実の整合性はありますか?行動は伴っていますか?
- 制度動向ばかりを気にしていませんか?
②病院は地域の人々や職員のものである
先に示したように、病院が地域のニーズに応えなければ事業の継続はできません。地域のニーズを理解し、必要とされる機能を備えサービスを提供していく必要があります。
そのうえで、病院で働く職員の理解と協力は必須です。医療は機械ではなく、人が作っていくサービスだからです。自分達の病院が地域の中で何を求められているかを踏まえた上で、目指すべき方向性を職員に積極的に開示していくべきです。また、大量の職員雇用は地域雇用創出という大きな役割も果たしています。
~病院への問いかけ~
- 地域の中での存在という視点で、自分たちの役割を考えていますか?
- 自分たちの能力・実力・地域での評価を冷静に把握し、自覚していますか?
- 自分たちのやりたいこと、できること、やれないことを自覚していますか?
- 地域から求められている役割・期待を冷静に把握していますか?
- 病院の状況を職員に開示・共有していますか?目指すべき方向性を示していますか?
③全ての病院は地域との関わりなしに存在し得ない
病院が目指すべき方向性は、地域の方々からも理解が得られ、納得し、支援されているべきものであると考えています。
~病院への問いかけ~
- 将来ビジョン、目指す方向を病院外から理解されていますか?
- 地域の医療機関全体で地域医療を支えるという視点を持ち、自分たちがすべきこと、すべきでないことを十分整理できていますか?
- 地域医療構想の中で自分たちに求められる姿、あるべき姿を具体的にイメージできますか?
まとめ
病院と共有している3つの経営改善ポリシーを再掲します。
①病院は事業が継続してこそ価値がある
②病院は地域の人々や職員のものである
③全ての病院は地域との関わりなしに存在し得ない
病院経営改善のシナリオを描く前に、このポリシーを病院にも納得していただくことが重要です。
次回は、経営戦略策定の際のおさえておくべく3つの視点についてご紹介します。
「病院経営~虎の巻~」、次回もお楽しみに!