ユカリア、昭和大学 電子カルテ由来の「ユカリアデータレイク」を活用した共同研究開始 「もっと患者に優しい薬」を届けるために既存の医薬品の課題発掘を目指す
株式会社ユカリア(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:三沢英生)と学校法人昭和大学(所在地:東京都品川区、理事長:小口勝司)は、2024年5月より、ユカリアが保有する電子カルテ由来の医療データを格納した「ユカリアデータレイク」を用いた医薬品開発シーズの発掘を目指した共同研究契約を締結し、研究を開始しました。
本研究では「ユカリアデータレイク」の特徴である、電子カルテ内のテキストデータ(患者さんの訴え、医師・薬剤師・看護師等の医療者の所見、ヒヤリハットなどのインシデントレポート)と医療情報の組み合わせ分析により、医薬品の「飲み込みにくさ/使いにくさ」や「医療安全の観点から見た医薬品自体の課題」などの医療現場の潜在的なニーズを網羅的に抽出し、製薬企業の医薬品開発に資する、既存の医薬品に対して付加価値を高めるための知見を創出することを目指しています。
■医薬品が患者さんの手に届くまで
薬の有効成分はわずかな量で人の体に大きな効果を発揮するため、機能性を付加した賦形剤(ふけいざい)※と混ぜ合わせたものを材料として錠剤、カプセル剤、坐剤をはじめとした普段我々が見慣れている医薬品の形に加工し、供給されます。さらに、有効性や安全性の観点から局所で効果を発現させることが望ましい場合には、吸入薬、貼付薬、塗布薬などのさまざまな剤形(ざいけい)で設計されます。その際に、薬をより適切に使用できるような工夫が施された吸入器や注射器などのデバイスも併せて開発されることもあります。
※錠剤、散剤(粉薬)、顆粒剤などの固形製剤に、成型、増量、希釈を目的に加えられる添加剤。
■研究の背景
一般に、医薬品が患者さんの手に届くまでには、製薬企業による有効成分の開発だけでなく、剤形の開発、吸入器や注射器などのデバイスの開発など、さまざまなステップが必要となります。一方で、すでに臨床で使用されている既存の医薬品のなかには、特に剤形、デバイスの操作性、使用感など必ずしも患者さんにとって最適でないケースもあります。加えて、医療従事者の視点では医療安全の観点からさらなる工夫の余地があると思われていることもあります。しかしながら、これらのような患者さん・医療従事者の声を定量的、定性的に抽出する取り組みはなく、製薬企業にとっても市場ニーズを網羅的に把握しづらいという課題があります。
■研究の内容と役割
本共同研究では、昭和大学薬学部病院薬剤学講座の百賢二准教授による「ユカリアデータレイク」の詳細な分析により、医薬品に関する潜在的な医療ニーズを網羅的に抽出し、製薬企業とのマッチングを経た効率的な医薬品開発のための情報を構築します。
本研究では、特に患者さんに優しい医薬品の開発候補となりうるような、「剤形」、「使用感」、「包装」等に主眼をおき、「飲みにくい」、「使いづらい」という患者さんの声や、「外観がそっくりで危ない」、「患者さんに使いづらい」といった医療従事者の声に関し、ユカリアデータレイクに格納された膨大なテキストデータと医療情報の組み合わせ解析により、ベッドサイドや診察室等の「困った」をみつけ、製薬企業による新たな医薬品開発や、既存の医薬品に対して付加価値を高めるようなヒントを定量的、定性的に抽出し、「もっと患者に優しい薬」が患者さんの手に届くようにすることを目指します。
■「ユカリアデータレイク」について
データレイクとは、大量の構造化データ、半構造化データ、非構造化データを保存、処理、保護するための、一元化されたリポジトリ(格納場所)のことです。
ユカリア独自の「ユカリアデータレイク」の特徴は、定量的なデータだけでなく定性的なテキストデータを分析に用いることができる点です。医師の診察時の所見記録や、病棟で患者さんに長時間接しケアを行う看護師の看護記録といった大量の定性情報から、患者さんの治療実態を多角的に把握することができます。
また、最長10年程度の長期間にわたり一人の患者さんの症状の変遷を参照できる点も特徴です。データ提供元の病院群は、急性期から回復期、慢性期、療養まで幅広い機能を有する市中の病院となっています。そのため継続的に通院する患者さんも多く、長期間の治療経過観察が可能です。
【学校法人昭和大学】
所在地 : 東京都品川区旗の台1-5-8
ホームページ: https://www.showa-u.ac.jp/