虎の巻その18
病院会計 the入門編(上)
はじめに
こんにちは。虎兄(とらにぃ)です。病院経営コラム「病院経営~虎の巻~」。
今回からは病院会計についてです。2年毎に実施される診療報酬改定増収施策や病床再編による収入増施策を実施しても肝心の病院の経営状態は把握できているでしょうか?
我々が病院経営の相談を受けた際の分析ポイントは3つあります。【病院内部環境】や【外部環境調査】そして今回お話しする【財務状分析】です。
病院は非営利性が求められている為、一般企業のような株主への利益の分配は認められていません。しかしながら経営状況を把握する目的で、月次決算書を作成したり、会計準則に則り期末に決算書を作成して税務申告を行っている医療機関など様々です。
「利益が出せているのか?」、「お金は足りているのか?」、「財産と借金のバランスは適正か?」などを明確にすることで、資金収支が健全であることを把握できます。
財務三表について
病院で経営状態を説明する際に使用する財務三表と呼ばれる①【貸借対照表】、②【損益計算書】、③【キャッシュフロー計算書】を見せると、「簿記や会計は分からない」という声がよく聞かれます。
決算書を読み解くために、財務三表の理解は重要です(図1)。事業会社(企業)も医療法人(病院)も会計原則に基づき財務諸表を作成しますが、病院は「病院会計準則」に基づき財務諸表作成していますので、今回は「病院会計the入門編」としてこの財務三票を説明していきます。
財務三票① 貸借対照表(Balance Sheet)
まずは【貸借対照表】について。英語のBalance Sheetから「BS」と呼ばれています。
BSは創業以来の活動の結果である保有財産の状況と借金などを、ある特定の時点で目録にしたものになります。財産と借金のバランスが適正か読み取ることができます。
BSの構造イメージを(図2)のように家計の財産に当てはめて説明すると、BSは[財産]、[借金]、[純粋な資産]の3つに分けられます。
現預金や持ち家・車などの現時点での資産価値金額が財産として左側に表示されて、右側に住宅ローンや、カード支払い金額などが借金として表示され、財産から借金を差し引いた純粋な財産が表示されます。
右側と左側の金額が一致することからバランスシートと呼ばれています。
(図3)のBSをもとに説明していきましょう。まずは左右の最下段、左側の資産合計と右側の負債・純資産合計が一致している事を確認します。
資産]、[負債]は、それぞれ [流動資産]・[固定資産]、[流動負債]・[固定負債]の 2つに分かれます。[流動]と[固定]の違いは現金化できるまでの期間により分類され、[流動資産]と[流動負債]についてはおおよそ1年以内に現金化ができるもの、支払いが発生するものが表示されています。(図4)
純資産は[出資金]と[利益余剰金]となっています。[出資金]は自分たちで拠出した金額であり、[利益余剰金]は医療機関が稼いだお金が表示されています。
まとめ
- 病院経営に重要な財務状況を分析するために財務三表①貸借対照表(BS)、②損益計算書(PL)、③キャッシュフロー計算書(CS)を理解する
- BSから財産と借金のバランスが適正かを読み取る
【損益計算書】と【キャッシュフロー計算書】は病院会計 the入門編(下)で紹介します。「病院経営~虎の巻~」、次回もお楽しみに!