虎の巻その26 「Withコロナ」に向けて、3つのリスク整理(中)~財務面のリスク
はじめに
こんにちは。虎兄(とらにぃ)です。病院経営コラム「病院経営~虎の巻~」。前回は、「Withコロナ」での病院経営のリスクは3つ、「患者環境変化のリスク」、「財務面のリスク」、「職員退職のリスク」だとお伝えしました。
今回は「財務面のリスク」について紹介していきます。
財務面のリスク
財務面で押さえるべきポイントは、お金の動きがどう変わったかということです。損益計算書では融資及び返済が表示されません。本業の経常利益は把握できるものの、これではCOVID-19の影響でいくら借入したのかがわかりません。この場合、貸借対照表の長期借入金の項目を見るとわかりやすいでしょう。
(図1)の場合、1年前の残高は140百万円、直近の残高が440百万円ですので1年間で300百万円の借入金が増えたという事がわかります。
ただしこの方法ですと返済に関する情報がわかりません。返済計画を把握するためには(図2)のような返済予定表を作成すると良いでしょう。
COVID-19関連融資の返済は2026年4月に控えており、2026年3月期の元本返済額は14百万円から39百万円に跳ね上がります。返済額が医業利益及び減価償却より多ければキャッシュアウトになり資金繰りが厳しくなります。そうならない為にも、中長期的な事業計画を策定しておく必要があります。
また、既存の取引先への説明も必要です。COVID-19で病院がどの程度影響を受けたのか、今後の返済能力はあるのか、債権者に説明するのは債務者の義務です。実現可能な返済計画が準備してなければ今後の取引に影響が出てくる可能性も十分にあります。
まとめ
- COVID-19関連の融資額は貸借対照表で把握する
- 外部環境分析の結果もふまえ、実現可能な返済計画をたてる