ユカリア STORIES
Withコロナにおけるパートナー病院の取り組み~旭山病院
こんにちは、ユカリアです。
医療やビジネスのゲンバから様々な情報を発信する『ユカリアSTORIES』。
冊子『EUCALIA LIVE』(ユカリアライブ)の原稿を抜粋・再編集し、それぞれのパートナー病院がコロナ禍のなか、どのような病院経営・運営をしてきたのかをお届けする、パートナー病院紹介シリーズ。
今回は北海道の「医療法人 北仁会 旭山病院」です。
※情報はすべて2021年10月時点のものです
医療法人 北仁会 旭山病院
[所在地] 北海道札幌市中央区双子山4丁目3番33号
[診療科目] 精神科、心療内科、内科
[病床数] 339床(身体合併55・慢性期58・急性期60・依存症50・認知症58・地域移行58)
[関連施設] 北仁会石橋病院、幹メンタルクリニック、精神科訪問看護ステーション「結」、高齢者デイケア「笑みな」
[ホームページ]http://www.hokujin.or.jp/asahiyama/
無方針の方針
2020年春にこれまでかつて経験したことがない化け物が医療界に突如入ってきました。言わずと知れた新型コロナウイルス感染症です。コロナは医療の現場のすべてを変えたといっても過言ではないと思います。当院もご多分にもれず大きな影響を受けました。
当院は札幌市の中央区に位置する精神科病院ですが、患者からの受診相談内容、相談数、疾患内容までもが大きく変化を認めました。通常業務でさえ大変なのに、コロナの感染予防対策が加わり業務は著しく増大し、スタッフには大変な苦労をいつもかけています。これまで行ってきた診療業務、スタイルだけでは対応が困難な局面も多々見受けられます。当院だけでなく多くの病院が同様の悩みを抱えているのではないでしょうか。
こうした中で旭山病院はどのような方向性で医療を担っていくのか。逆説的で矛盾した言葉に聞こえるかもしれませんが、旭山病院の方針は「無方針の方針」です。
「旭山病院はこういう病院です」「できることはこれで、これ以外はできません」として終わらせない、つまり自院の在り方を安易に決めつけない、あるいは決めたことにしばられない、どのようにも対応できる臨機応変な姿勢こそが大切であると考えています。当然ですが当院が置かれた環境やスタッフの数などには制限があり、当院が行える医療行為には物理的に限界があります。そうした現実はしっかりと受け止めつつも、常に患者さんのニーズに耳を澄まし敏感に対応できる柔軟性が今こそ必要とされていると思います。
そして実はこれは化け物が入って来ても来ていなくても、本来医療には必要な対応、心構えではないでしょうか。
「軽い」とは世間の通念では疎まれる言葉ですが、当院は地域のニーズに応じていつも軽々しく起動できる病院でありたい、そう思います。
笑顔で寄り添う認知症ケア「笑みな」
認知症における地域医療の重要性は年々高まっており、家族・医療従事者はもちろん街全体で考えてゆくべき事となりつつあります。そんな中、私たちはさらなる地域医療のニーズから認知症の専門家として2019年から重度認知症デイケアを立ち上げる事となりました(2019年2月に完成した新棟1階にて開設)。毎日ご自宅や施設へ迎えに行き、食事・入浴・排泄に関するケアはもちろん、認知症に特化したプログラムで日々認知機能や身体機能の改善に取り組んでおります。「笑みな」と名付けたのには意味があり、私たちが一番大事にしている事はもちろん「笑顔」です。認知症のアプローチで一番大事と言われている快刺激を、生活場面・プログラムなどで存分に与える事です。認知症特有の症状(BPSD)が軽減され穏やかに過ごす事が出来ます。また、ご家族様と密に情報共有を行い、相談に対しては状況に応じたサービスの検討や家庭での対応の方法を伝えるなど、少しでも負担が減る様にご家族様のケアも大切にしています。
今現在「デイサービス」と言われる通所介護施設が多くあり、目にする機会も多いと思いますがそれとは少し違いがあります。当院は医療施設であり医療保険を適応していますので利用費負担は最小限に抑えることができ、精神科医や看護師、リハビリ専門職が常駐しているので緊急時の対応も得意であるという強みもあります。
医療的な見地から心身機能の回復や維持、症状の改善を図りながら、その人らしく暮らせる場所を常に考えならスタッフは日々取り組んでおります。お互いに笑う事で毎日が楽しくなり豊かになる様な安心・安全な居場所作りをこれからも提供して行ける様に励んで参ります。
北仁会の歩みとこれから
北仁会は北海道の小樽(いしばし病院372床)、札幌市中央区(旭山病院339床、メンタルクリニック幹、訪問看護ステーション結等)で精神医療を続けている医療法人で、その歴史は95年に及んでいます。
2010年当時の法人の最大の課題は古くなった小樽、札幌の両病院の増改築でした。精神科医療は「病院から地域へ」の合言葉の下で大きな変換の時期にあり、同時に患者家族の入院環境向上への要求の高まりにも応えられる構造を両病院とも必要としていました。10年かかって札幌の病院はその増改築を終了し、次は小樽の病院の改築に取り組まなくてはなりません。法人はこのタイミングで新型コロナウイルス感染症に襲いかかられていますが、当法人の文化ともいえるスタッフの強い結束力に支えられてこの難局も乗り越えて目標とする新改築を実現出来ると私は確信しています。
次回は北海道の「医療法人 東札幌病院」です。
ゲンバからは以上です。